緊急企画!?
「神戸市役所 仮面女子会」!
昨年度より神戸市で始まったスタートアップ支援!
神戸スタートアップオフィスの開設やアクセラレーションプログラムの実施、その支援対象となるスタートアップを選考するイベント「KOBE Global Startup Gateway」の開催、そして今夏に実施された500 Startupsとの連携プログラム「500 KOBE Pre-Accelerator」など行政としては積極的に挑戦を続けてきた神戸市。
しかし数々の「神戸市初」「日本初」を続けてきた舞台裏ではいったい何が起こっていたのか?!裏方を探るべく、今回、同じ市役所職員でありながら異なる部署に所属し、公私ともに親交のあるS藤さん、Y田さんを招いて女子会を開催し、明らかにしていきます!
(聞き手:内部事情通)
合言葉は「ぽーる・ぐれあむ」
スタートアップオフィスも次はいよいよ3期、早いなぁ。
Hやし
私とHやしさんがスタートアップ支援を担当しはじめてもう1年半が経ちますもんね…いやぁ…いろいろありましたね。笑
Oくしま
S藤
新聞とかテレビとかで神戸市のスタートアップ支援について報道されてるのをたまに見るけど、同じ市役所でありながら、かなり異色な仕事だよね。色んな意味で新しい試みだけど、そもそもどんな感じで始まったの?
ちょうど私とOくしまさんはこのスタートアップ支援が始まった年に、人事異動でこの部署に配属されて。今でも昨日のように覚えているけど、引き継ぎの資料として渡されたのはたったこの1枚の紙…!
ペラっとした1枚の紙…。
Hやし
S藤
あれだけの事業をたったこれだけの1枚!?
そう、今年度の事業について記載されている1枚の紙を元に15分くらい説明を受けてそれで終わり。
市役所にとって全く新しい取り組みだったし、1枚の紙以上のことは、当時何も決まっていなかったから。
へー、そうなんだ、ふーん、みたいな。
Hやし
S藤
おお…。
あとは、「これを読んで」と渡された「Yコンビネータ―」の本。
あの当時は、上司から毎日毎日、来る日も来る日も、「ポール・グレアムが…」「ポール・グレアムが…」と聞かされていたなあ。笑
でも誰!?「ぽーる・ぐれあむ」!?という感じだった…。今から考えたら恐ろしい話ですが。
でもあの時に読んだ「Yコンビネーター」の本が私たちのバイブルになりましたね。
Oくしま
Y田
予想通りなかなかの無茶振りから始まってる…。それは、例の「T名部課長」らしいよね。
すべては1人の変人から始まった
ーー 神戸市のスタートアップ支援は「T名部課長」を語らずには、話は成り立ちませんからね。笑
神戸市のアクセラレーションプログラムは資金提供型(3rd Batchは最大150万円)ですが、こういった形のものは行政初ですよね?
そもそも行政とスタートアップって全くの正反対な気がします。
行政は基本的には1年サイクルで、前年度に決めた予算・事業をもとに執行していくのが普通。
でも翻ってスタートアップは、リーンスタートアップという言葉があるとおり、PDCAを超高速回転させる。スピードが何よりの命の世界…。いわゆる普通の行政組織ではできなかったと思う。
それが出来たのは、、幸いにも?神戸市には「T名部課長」という破天荒な職員がいたからで…。
噂のT名部課長。いい表情ですね。
こういった資金提供型のアクセラレーションプログラムももちろんそうだし、昨年度から始まったフェローシップの活用や、今年のチーフ・イノベーション・オフィサーやITイノベーション専門官の登用やら、何から何まで神戸市初というか日本初?のものも多い。
Hやし
極論を言えば、結論がありきの場合も多くて、「これ面白そうやから進めよう!」というのが先にあって、先方とどんどん話が進むけど、いつもヒヤヒヤしているのは部下であるHやしさんと私の方。
市役所では前例のないことでも「T名部課長」は躊躇がないし、お金も人もどうするつもり!?みたいな。笑
Oくしま
打ち合わせが終わって市役所に帰ると、私とOくしまさんとで、いつも「どうしよう…」と相談しているのがおなじみの情景という…。
Hやし
S藤
でもそういう仕事の仕方じゃないとうまくいってなかったんじゃない?
相手のスピードに合わせる必要があるし、相手のボルテージも上げていかないといけないでしょ?
「来年度の予算はまだ決まっていないので、出来ません」じゃ話にならない。
だからスピード感をもってやるしかない。なぜなら「やるという事実」自体はもうT名部課長の中では決まったことだから。
Oくしま
毎回毎回、自分の中で築き上げてきた「市役所的常識」が、ガラガラと崩れていく音がする…。笑
そんなやり方あり!?みたいなことも多くて、私が今まで出来ないと思いこんでいたことは何だったんだ!?って。
Hやし
―― ただ、外部の人間としては、一緒に仕事をさせて頂いていて、すごくやりやすいなと感じることが多いです。
市役所で前例のないことをどうすれば実現できるかと考える癖というか、常に目の前にあることのために出来ることを考えているというか。
Hやし
誤解を恐れずに言うと、法律さえ侵さなければ、条例も変えられるし、何でもできるんじゃないかという考え方にはなった。笑
少なくともT名部課長は条例なんて今の状況に合わせて変えればいいじゃんって思ってる派だと思います。
Oくしま
S藤
でも他の部署では通用しなさそう〜。。
確かに。このモードのまま他部署に行ったりしたら「はあ?頭おかしいんちゃう」って思われそう。笑
ホントこんなに苦労しているのがちゃんとわかってもらえているのかどうか…苦笑
Hやし
世界最高レベルのアクセラレーションプログラム「500 KOBE Pre-Accelerator」
ーー その最たる例が、今夏に500 Startups と連携して実施された「500 KOBE Pre-Accelerator」ですよね
正直ずっと本当にやるの?という感じだった。笑
というのもシリコンバレーから一流のメンターが丸ごと神戸に来るなんて現実味が無かったし、当初はこんな夢みたいな話にスポンサーが本当に集まるのか信じられなかった…。
でも結果蓋を開けてみると、プラチナスポンサーの三井住友銀行を始めとして多くの企業から集まった。本当にありがたいことだと思う。
ただ、500 Startupsの場合は実際のプログラムが始まってからも、山あり山あり山ありだった。笑
Oくしま
一番大変だったのは、そもそも役所と民間というレベルの話ではなくて、日本とシリコンバレーの仕事の進め方が全然違っていたということ。事前の打ち合わせの場で、アクセラレーションプログラムの内容をどうしようかとか、公開型イベントをどうしようかとか議題にあげても、500 startups側は「プログラムが始まってから考えよう!」とか信じられないことを言う。笑 実際に始まってからも、プログラムやイベントのスケジュールは当日その場で変更する。笑
今回500 startupsのプログラムの運営事務局をお願いした奥田浩美さん(株式会社ウィズグループ)やリエゾンオフィサーとして500 startupsとの調整をしていただいた山下計画さんというこの業界の一線級の人たちとも「マジで!?」と何度も顔を見合わせたりと、ひたすらそういうものの連続だった。
いつの間にか「いつものこと」という感じで慣れましたが。笑
oくしま
ただ、その分500 Startupsの今回のプログラムの統括責任者であるZaferさんには、「こんなに一緒に考えて動いてくれる、こちらに任せきりじゃないプログラムは世界中で初めて」と、お褒めの言葉を頂いた。
Hやし
まさに協働というか、ともに考えて、ともに作っていたプロジェクトでした。
神戸市はこれをするべき、運営事務局はこれをするべき、という縦割りの役割分担ではなくて、はじめて直面する状況に、全員野球的にみんなが自分のできることをやっていた。だからこそみんながフラットでいられて、自由な意見を言い合える環境ができていて、あの一体感、チームワークはすごかった。
今や、あまロス症候群ならぬ、500 Startupsロスです。笑
oくしま
神戸市がスタートアップ支援に取り組む理由
Y田
そもそも行政がやる意味ってなんなの?
そもそも神戸って、今のところは残念ながらどこを見てもほとんどスタートアップなんていない。
ゆえにシリコンバレーのようなアクセラレーター自体がビジネスとして成り立つ土壌がない。
だからといってこのまま手をこまねくわけではなくて、民間がやらない領域だからこそ、最初のきっかけづくりは行政がリスクを取って、追い風を吹かせる。最終的には民間側でそういった役割をもったところにバトンタッチしていけたらいい。
Hやし
S藤
500 Startupsとやることで、神戸市にはどういったメリットがあるの?
こういう素晴らしいプログラムが神戸でできることで、素晴らしいスタートアップが集まってくる、そうなると投資家も集まってくる。
実際、500 Startupsには国内外から集まってきたスタートアップが参加していたし、参加したスタートアップからは、次があるなら、絶対に周りのスタートアップに勧めたい!といった感想をたくさんもらっています。
神戸がそういう「場」になるひとつのきっかけになればなあと。
oくしま
現状はもちろんスタートアップが多いのは、東京で、世間的に力を入れていると思われているのは福岡だけど、起業するなら東京か福岡か神戸だよねと言われるようにしたいかな。
実は、500 Startupsのプログラムも半分以上は東京のスタートアップが参加していたのだけれど、彼ら彼女らのうち半数は神戸近く出身だったり、神戸大学出身だったりと、神戸のポテンシャルは想像以上に高い気がしていて。
神戸大学出身のポケットコンシェルジュ石田さん
Hやし
でもまだまだ始まったばかり。500 Startupsとの共同記者会見で神戸市の久元市長が「スタートアップにとっても、神戸市にとっても今日が新たなスタートです」、と言っていたのが印象的だったし、まさにその通りだなと思った。
久元市長と500 StartupsファウンダーのDave氏
oくしま
ーー 聞いていると、神戸市のケースは行政、民間問わず、経営層と現場の熱量が一致したケースだと感じます。
第三者的に見ると、神戸市の他の地域のスタートアップ支援施策と何が違うかと言うと、それは兎にも角にも中の人の「熱量」で、本質的にはそれが全てな気がしますね。
500 StartupsのファウンダーであるDaveさんが「我々は今まで先人の作ってくれた利益を享受してきた。次は我々が未来のためにリスクを取って一歩を踏み出さないといけない。そのパートナーが神戸市であることを誇りに思う」と言ってくれたことは、こちらこそ光栄です!という感じで、神戸市の熱量が伝わったようでうれしかった〜。
oくしま
ーー 色々な意見はあるかもしれないけれど、人口減少時代でどうなっていくかわからない世の中、神戸市という政令指定都市がこういったチャレンジングなことをしていくことは意味があるように思います。
むしろよくこの企画も受けてくれましたね。笑
是非神戸の取り組みを知ってもらうきっかけとなればと、ヒト肌脱ぎました。笑
神戸市の林です。
Hやし
スタートアップ支援の展開については、神戸は本当に熱量があるとたくさんの起業家や関係者からありがたい言葉をもらっています。その中で神戸市としても軸にすえているアクセラレーションプログラムは、是非たくさんの人に知ってほしいし、プログラムを受けに来てほしい。ともに動いてくれている人たちも含めてそれだけ心血を注いできたし、自信を持っているので。
是非みなさんのご応募をお待ちしております!
KOBE Global Startup Gateway 2nd Batch
Hやし
ABOUT
KOBE Global Startup Gatewayは、神戸市アクセラレーションプログラムに参加する起業家を選出するスタートアップコンテストです。
神戸市アクセラレーションプログラム
KGSGで選出されたチームは、KOBE STARTUP OFFICEにおけるアクセラレーションプログラムを受けることができます。
専門家によるメンタリング、活動資金の提供を受けることができ、プログラムの最後に投資家に向けてのピッチを開催いたします。
活動資金
30万〜150万円の活動資金
メンタリング
事業計画のプランニングやフォローアップ
投資家へのピッチ
デモデイにおいてVCなどからの資金調達へ
エントリー期間:
9月12日から10月30日 まで